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2024年04月17日 | 日記

修行時代の話しなど

店主の西川です。

今日は、私のラーメン遍歴や経歴について話したいと思います。
だいぶ長くなりますので、短編を読むような気持ちで読んでくださると幸いです 笑

まず、ラーメンにハマる最初のきっかけになったのは、分倍河原にある「ふくみみ」というお店です。
当時、新卒で入った会社が府中と国分寺の間(中華蕎麦 ひら井さんの近く)で、会社の人のオススメで行ったのが最初でした。
それまでラーメンはわざわざお店に行ってまで食べるほどでもなかったのですが、ふくみみのラーメンがホントに好きで休みの日に毎週食べに行ってました。

ただ、そこでラーメンにハマったわけではなくてふくみみばかり食べていたのですが、その後大学時代の友達の紹介で白金高輪の個人でやってるお米屋さんで仕事をすることになりました。
近くに品達というラーメン複合施設があってそこの「つけめん TETSU」にハマってからラーメンに完全にハマりました。
ちなみに、当店で今お出ししてるお米は当時勤めてたそのお米屋さんのものになります ^ ^

当時は豚骨魚介系がとても流行っていて、有名店はもちろん気になったお店はすべて行きました。
濃厚系を食べることが多かったですが、次第に淡麗系も食べるようになりラーメンが持つ魅力にどっぷりとハマっていきました。
「ラーメンは楽しい」本当にそう思うようになって、将来の自分の仕事、一生涯続けていける仕事を模索していた当時の私は、一念発起しラーメン業界に足を踏み入れることにしました。

ただ、それまで飲食経験のなかった私は厳しそうなラーメン業界(怖い店主がいそうなイメージ 笑)でやっていけるのか不安しかなく、周りからも心配されたのですが、それでもチャレンジしてみたいと思い、中野区野方にある「味噌麺処 花道」に勤めることになりました。
なぜ花道を選んだのか、それは店主の垣原さんの仕事ぶりを見たからです。
調理諸々で忙しいのにお客さんにしっかり挨拶されてて、この人の元で働きたいと思いました。

そして入った私ですが、想像を超える忙しさ・大変さで当時は垣原さん、花田さん(現・麺処 花田)、自分より少し早めに入った社員の大輔君というメンバーで、忙しいなかいかに周りの状況をみながら仕事をするかが問われ、周りを全く見れてない私はただただお荷物になり、忙しさのあまり頭に巻いてるタオルはずれ下がり(今でもネタにされます 笑)入社2ヶ月にして早くも限界がきました。
「ちょっと続けられそうにないです。。」と言った私に対し垣原さんは「じゃあ社員じゃなくてアルバイトでやってみるか?」と言ってくださり、アルバイトになった私はなんだか気が楽になって、その後スムーズに仕事ができるようになりました。
あの時、見放さなかった垣原さんには今でも感謝しています。

その後また社員に戻り花道で2年勤めた私は、ステップアップも兼ねて他のお店何店舗かで働かせていただきました。
なかにはすぐ辞めてしまったお店もありご迷惑をおかけしてしまったのですが、どのお店にも共通していえるのは皆さん本気でラーメンに向き合っていたということです。
そのお店の一つ、蔦の大西さんの元で働かせて頂いたのは今でも貴重な経験だったと思っています。

蔦が1年目の時、私はお客として通っていたのですがとてつもないクオリティのラーメンで虜になりました。
求人募集をされていて応募したら私を選んでくださったのですが、自分としてはここが集大成、蔦を経てお店を出すという決意をもって勤め始めました。
ただ、現実は日々の業務についていくのが精一杯で、当時は大西さんと私の2人体勢で常にお客さまは並んでおり、ミスしちゃいけないでも仕事のスピードは落としてはいけない、という思いが空回りしうまくいかない事が多く、また大西さんの食材に対する思い、ラーメンに対する思いなどが自分とは格段の差があり、毎日必死にやってはいましたが力及ばず、3ヶ月目にして限界がきました。

迷惑をかけた状態で辞めてしまったのですが、その後少し時間をおいて働かせて頂けたことへの感謝や迷惑をかけてしまったことなどを大西さんに伝えました。
そうしたら大西さんは「お前はお前のやり方で頑張れよ!」と言ってくださり、幸生をオープンする際は開店のお花までくださいました。
TRYの味噌部門新人賞を頂いたときも電話をくださって「お前本当に良かったな。おめでとうな」と言ってくださいました。
とても修行したとは言えない身分ですが、本当に大西さんに感謝しています。
仕事に対してはとても厳しい方でしたが、普段は面倒見のいい方で、一緒にラーメン食べに行ったりお蕎麦を食べに行ったり、短い期間ではありましたがとてもいい思い出があります。

話しは戻り、蔦で挫折した私はラーメンに対する気持ちが完全に切れてしまい、その頃プライベートもどん底で東京を離れて地元に帰ることになりました。
その後、地元で悶々と配送の仕事をしながら過ごしていたのですが、1年経った辺りに花道の垣原さんから電話があって「新しく人募集するんだけど、お前がまだやる気があるんだったら戻って来い」と言ってくださり、ラーメンに対する気持ちが残っていた私は、何の迷いもなく一言返事で花道でまた働かせて頂けることになりました。
それから5年必死に働き、独立までたどり着くことができました。

今思えば、本当に人に助けられてここまでこれたと思っています。
これまでいろんなラーメンを作ってきましたが、味噌メインでやってるのはこれまでの自分の集大成、自分が一番自信を持ってお出しできるラーメン、お世話になった方への感謝の気持ちや恩返しの気持ちがあります。
決して自分の力だけではここまで来れませんでした。
お世話になった方みなに、この場を借りて感謝の気持ちを述べたいと思います。

だいぶ長くなってしまいましたが、ラーメン遍歴はこのような感じです。
いま振り返ると、本当に本気でラーメンに向き合うようになったのは花道に再度戻ってきてからのように思います。10年くらい前にすぐ辞めてしまったあるお店の店主に、当時「今のあなただったらお店を出しても100%潰れますよ」と言われました。その時はわからなかったですが、今思えば確かにそうだなと思います。
ラーメン屋に勤めていればお店をやれるわけじゃない。
お店を始めることはできるけど、続けていくことは容易ではない。
中には経験なしでもできる人はいるかもしれませんが、大切なのは自分自身のやる気、気持ち、周りへの感謝や筋を通すなど、そういった部分だと思います。

お店を始めた当初は、全ての責任を背負っていくことに押しつぶされそうになりました。ですが、ありがたいことにお客さまが食べに来てくださることで、自分のやってることは間違いじゃないんだ、そう思えるようになりました。
自分の始めたお店に、わざわざ時間とお金をかけて食べに来てくださるなんて、こんなにありがたいことはないと思っています。
いつも本当にありがとうございます。
今後とも、どうぞ宜しくお願いします。

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